任天堂はスマブラXこと『大乱闘スマッシュブラザーズX』について
任天堂の岩田社長がソラの桜井政博さんに訊ねる対談
「
社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』」の第二弾を公開しました。
今日公開されたのは「
Vol.2 はじめてゲームに触る人のために」です。
「最後のスマブラ」のつもりで
桜井さんは新しい『スマブラ』を作る上で、
「
『スマブラ』というのは未来永劫続いていくシリーズではない」
『スマブラX』に参戦出来うるキャラクターがどんどん増えるわけでもなければ、
懐かしいキャラクターを増やす方向でも全ての人を喜ばせることは出来ない…。
現時点で全てを総動員できるラストチャンスとして、
これが最後のつもりで取り組んだとのことです。
ゲーム機がWiiとなったことについては
桜井さんはいち早く『Wii Sports』のようなゲームが主流となると予感し、
もっと簡単なゲームを楽しむことが新しい動きになってくると思ったそうで、
その方向性自体は素晴らしいと思ったものの、
『スマブラ』はそちら方向へは必ずしも歩み寄るわけではなかったとのこと。
『スマブラ』をもっと絵柄をライトにして、Miiも使えたりして
…といったことも出来たものの、これから様々なゲームがWiiで出る中で、
『スマブラ』の求められる姿はそれとは違うと思い、
かなり初期の段階からWiiリモコンのポインターや振る動作は
メインとしては使わないよう決めたそうです。
Wiiリモコンもクラシックコントローラも、ヌンチャクも、ゲームキューブコントローラも…
それら全てに対応させることも企画当初から決めていたとのことですが、
Wiiのポインティングデバイス的な使い方は『スマブラX』では採用されていないとのこと。
Wiiの新しい方向性に基づき、新しい操作方法で作ることも可能だったものの、
「お客さんの要望に応えるものを全力でつくろう」と考え、
『スマブラX』がWiiの目指すものに合っているかどうかはあえて気にせず、
これがWiiにおける『スマブラX』の役割なんだと割り切ることにしたことを、
企画書の段階ではっきり打ち出したそうです。
公開された企画書には、次のように書かれています。
これが“レボリューション”や任天堂がめざすコンセプトに合うのかどうか?
それは、
役割として割り切ることにしようと思う。
また岩田社長も、
Wiiで新しい方向性を打ち出しつつも、
任天堂が提案する商品が皆同じ色になってしまうのが一番良くないことだとして、
多彩であることがとても大事であるとしています。
さらに昨今の飽きやすくなったお客様のために、
『Wii Sports』や『Wii Fit』という方向性をとったことについて、
桜井さんは従来にない価値観において
「多く、濃く」したゲームだとして、正しいとされています。
『Wii Sports』『Wii Fit』…そして『スマブラX』
岩田社長は
『Wii Sports』や『Wii Fit』のような誰でも遊べるゲームがあることは、
『スマブラX』にとっても良いことであるとしています。
『Wii Sports』や『Wii Fit』で初めてゲーム機のコントローラを握った人の中で、
『スマブラX』に触れ、その面白さに気づく人もいるはず。
『Wii Sports』や『Wii Fit』の直感的面白さを入口に、『スマブラX』の面白さに出会う…。
岩田社長は、これこそ本当の意味での「
ゲーム人口の拡大」だとしています。
そして、これは私達ゲームユーザーも再考しなければいけないことでしょう。
岩田社長は「
ライトユーザーとかコアユーザーとかを切り離して考えるべきではない」
全員最初はライトユーザーだったわけで、そこからコアになったりするのに、
何か、両社が生まれつき全く別の存在のように
言われ過ぎていることについて、疑問を投げかけています。
また、それはあくまで今現在という瞬間で切り取って語っているから
そうなってしまうのであって、今コアユーザーな人も、
昔はライトユーザーだったはずとのことで、
これより「
新しい人が入り続けることが一番大切」であり、
そうしないと「
いつかお客さんがいなくなってしまう」としています。
桜井さんが最初の『星のカービィ』を制作したときから言っていたこととして、
初めてゲームに触れる人におすすめできるゲームを作ろう
…というコンセプトを岩田社長が挙げ、それは今日まで、一度も外れたことが無い…
「ゲームをはじめてやる人が抵抗なく触れるように」
ということに常に心を砕いている点について、
桜井さんはHAL研究所入社前に、その時市場にあるゲームを様々な角度から眺めてみて、
「
あまりに難易度のインフレと化していて、初心者におすすめ出来るソフトがない」
ことに気づいたのが、今日までの姿勢の根底にあることを語られています。
そして
岩田社長も、そうした桜井さんの姿勢にインスパイアされ、
今日の「ゲーム人口の拡大」戦略に大きな影響を与えたとされています。
そして、次回は『スマブラX』のネットワークにおける方向性と
任天堂が打ち出したWi-Fiコネクションの類似性に、
桜井さんも、岩田社長も驚いたというお話です。